あっしがバッタでござんす!  あっしがバッタでござんす。
どう間違えたのか、うすら寂しい旦那の住んでいる部屋へ入ったのがトンでもハップンでござんした。
 
 あのジジイ俺様をエサにしようと近づいてきやがった。
 
 馬鹿なやつさ、俺様の跳躍力を知らぬ程にもきりがあらあな。

 それにしても殺風景な部屋である。
ある物といえば、邪な鍵盤もどきの手打ちボードと、俺様の嫌いな唐芋の匂いがする水みたいなもんがあるぜ・・

 
あたしもバッタですよ。ほほほ

  実は、この寒々とした部屋へ飛び込んできてからもう一週間ばかりになります。どうかして抜け出そうと試みるのですが、あの のっそり野郎暑くもないのか、部屋を閉め切ったまま鼾をかいて、そのうえ目をあけています。
 不思議な寝方をする生き物もあるもんでがんす。
しーつ・・あの馬鹿が目を覚まします・・ ほんと・・むし暑いところです。秋の気配すらありません。
 何の因果か知らねども、こう息苦しくちや運の尽きさ・・
 こんど秋を告げるときにゃ場所を選らばなくっちやあならねい・・
くそ!やる気か!このビッキョ!!
 

 おや、本気で俺さまを捕まえにきなすったな・・
 この蛙みてえいなでっかい頭をしたジジイ野郎!
 捕まえるならやってみろ!
 へへお前さんの蛙とびなんぞ・・へ
 屁の木っ端さ・・ほんま
 
ああ 疲れちやったぜ・・ 逃げるのは諦めたぜ・・
 いつか逃げてやる。
まあ 今夜はおとなしくジジイのご機嫌をよろしくとっておくとするか。あの御仁は、おいらがじーっとしとけば、にんまり笑ってうなずていらっしゃる。薄気味悪い野郎だぜ・・ほんま。
 あの野郎にや俺様たちの同類がどれほど犠牲になったか数も知れねいや・・ぎょろりとした目とパックリ開いた口で誘い込みやがって・・
いまは辛抱の時さ・・逃げ道は必ずあるはずだ。
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オーバルパテイオ
  ぼんち蛙通信8月
夜の訪問者  2004年8月24日(火)